アマサケアユミ [ 甘酒歩み ] in 東京

東京甘味処漫遊記~都内大小新旧様々な甘味処を徘徊して甘酒をハシゴ酒する人の日記~

甘酒歩み

せたがや縁側 cafe 【松陰神社前@東急世田谷線】

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 松陰神社前駅の三軒茶屋方面に降り立てば目の前には松陰神社通り商店街が、左手の松陰神社と右手の世田谷通りを起点にして伸びている。ソコをから松陰神社へ向かいしばらくフラフラ歩いて行くと、米屋の向かいに背の高い葭簀で囲われた間口一間程度の小さな店があり、ソコこそが目指す「せたがや縁側 cafe」である。

 開店直後の店にはおねえさんが一人、開店準備に追われ店先に縁台や丸テーブルを設えている真っ在中。ソレを通りの反対側からしばらく見守り、やがて準備を終えたと思しき所を見計らい葭簀の奥へと足を運ぶ。小ぢんまりした店内では先程のおねえさんが店の最深部にあるキッチンスペースに佇みコチラを見ている。早速「甘酒」をホットで注文をすると、カウンター上での作業を止め冷蔵庫から容器を取り出し準備に取り掛かる。その光景を確認後、手持無沙汰なひと時を店内でも眺め過ごそうと、棚やテーブル上に並ぶ“麹”系の調味料やオーガニックな焼菓子を眺める最中、コォーッという蒸気の噴出音に振り返ると、紙のカップに注がれた完成間際の「せたがや縁側 cafe」の「玄米甘酒」を確認。カップに蓋をしてもらい代金を支払った後、店を出た所でコレをドコで頂こうかと思案する。対面にある米屋の軒先にフリーの縁台もあるが、やはりこの地のランドマークへ向かうべく紙コップ片手に商店街を進む。

 松陰神社を入って直ぐの神楽殿で浜縁の横に立ち白い上蓋を開けると、荒い泡が一面を覆うその僅かな隙間からカフェオレ色をした液体が見える。立ち昇る香りは確かに玄米的素朴さで、その中にほんのりと漂う糀の存在が確認できる。一口啜ってみるとサラサラとした口当たりで瞬く間に隅々へと行き渡り、ソコに米の濃い風味と僅かな野菜の青臭さ、そして舌を優しく刺激する酸味で一斉に染め上げる。ソコに糀由来のまろやかでありながらシッカリとした甘さが徐々に厚みを増し始め、ソレに伴って糀の風味も徐々に濃く香りを満たしていく。しかしココである違和感にぶち当たる。コノ「玄米甘酒」、幾ら飲み進めてもその中に「甘酒」にあって然るべき粒感が一切見当たらないのである。つまりはコノ「せたがや縁側 cafe」の「玄米甘酒」は、一切の固形物を排除してその栄養分のみを凝縮、純天然由来滋養強壮栄養飲料へと特化したモノといえる。そんな超近代的アプローチの「甘酒」を、松陰神社の片隅で啜っているというのも因縁深いとか思ってみたりする。





[住所]東京都世田谷区若林4-20-12
[時間]11:00~18:00
[定休]日曜日
[価格]300円